これを取り入れるだけでこんなに変わる!
寝床内環境を要チェック

適切な室温を保つことは睡眠の質を高めるために必要なことですが、
季節に合わせた寝具を用いて、お布団の中(寝床内)を快適な温度に保つことも大切です。
寝床内環境は体に最も近く、温湿度や身体への影響に直接的な大事な要素です。
寝床内環境を意識的に捉えることにより、より快適な睡眠を得られるように工夫しましょう。

TABLE OF CONTENTS

"良い"寝具って何?

保温性・湿度調節機能

「睡眠中は深部体温や代謝が低下する。そのため、就寝中の衣服や寝具は覚醒時よりも保温性の高いものが必要となる。(中略)寝床内気候が温度32~34℃、相対湿度50±5%の範囲であれば、快適な睡眠が得られている。」

参考文献:白川修一郎・福田一彦・堀忠雄『基礎講座 睡眠改善学 第2版』、ゆまに書房、2019、pp.67

このように、"良い"寝具の条件としてまず第一にあげられるのが保温性です。前章「寝苦しい夜に試してほしい 快眠のための温度・湿度」でもお話しした通り、温度と湿度は睡眠に深くかかわってきます。室温は16℃~26℃の間で調整しますが、お布団の中はそれよりもさらにもう一段階暖かくなるように寝具で調整します。
また、吸湿・透湿性の高い寝具を使うことで寝床内の湿度を一定に保つことに役立ちます。

寝返りへの影響

寝具には温度調節以外にも大事な役割があります。 それが「寝返りのしやすさ」です。

暑いときに熱を逃がす体温調節の面でも、身体の一部に圧力がかかりすぎないようにする面でも、寝返りは睡眠になくてはならない現象です。寝具はこの寝返りのしやすさに直結します。

例えば固い床の上に寝て寝返りを打つと考えてみてください。骨が当たって自然に寝返ることができないのではないでしょうか。 逆に、極端に柔らかいものに沈みこんでいる状態ではどうでしょうか。これもおそらく寝返りを打つためにかなり力を使う必要があるかと思います。 つまり、適度な固さが寝返りを打つためには必要であり、それを実現しているのがお布団なのです。
寝返りのしやすさというのは、個人の体重等によっても変わってきます。体重が重めの方・がっしりとした体格の方はよりしっかりと硬めのお布団がおすすめです。

また、掛け布団の重量によっては寝返りが阻害されてしまうこともあります。
上部の寝具に関しては「軽い」というのも良い寝具の条件となります。

"パジャマ"も寝具のうち!

肌に直接触れる寝間着ももちろん睡眠にとっては大事な要素です。
吸湿性に優れ、柔らかで肌触りのよいものを選びましょう。ストレスなく眠れるよう、締め付け感のないものが望ましいです。

「いい寝具の条件」まとめ

(参考文献:松下電工技術研究所(編)『眠りと寝室の科学』 松下電工ライフスケッチ研究室、1988、p91 を元に作成)

寝床内環境に大事な要素をまとめると上のようになります。お布団を選ぶときはこの観点でみていくとよいかもしれません。
また、睡眠には音や光といった外部環境も影響してきます。



季節に合わせた寝床内環境

寒い冬を乗り切るための寝具選び

冬は室温が下がりやすい分特に寝具での保温が大切になります。
保温性があるとはいっても、もちろんお布団から外気に向けての放熱は起こります。このとき実は掛け布団から逃げる熱よりも敷布団から逃げていく熱の方が大きいのです。


よく「寒さ対策」というと掛け布団に意識がいきがちですが、実は敷布団の保温性を高める方が、結果的に寝床内温度を暖かく保てます。

また、冷え性の方は湯たんぽ等で補助してあげるのもおすすめです。ポイントは睡眠の後半は温まりすぎないようにすること。

前章の通り、睡眠初期は皮膚から放熱して深部体温を下げるため、冷え性により放熱ができないケースは加温が有効ですが、睡眠後期は放熱も収まり、深部体温も下がりきっているので過度な温めは逆に寝苦しさを生んでしまうのです。

(参考文献:白川修一郎・福田一彦・堀忠雄『基礎講座 睡眠改善学 第2版』、ゆまに書房、2019、pp.23 を元に作成)


暑い夏にできる寝具の工夫

夏は基本的には空調を調節してまずは寝やすい室温をつくりましょう。そのうえでできる寝具類の工夫を教えします。

ポイントは湿度。気温を調整できても湿度が高いと"暑苦しい"と感じることがあるかと思います。通気性をよくする敷きパッド、布団と床の間に隙間をつくるすのこベッドなどが通気性をよくする寝具として挙げられます。


今からできる!快適な寝具選び

いかがでしたでしょうか。睡眠にとって寝具はとても大切なものです。もし、「眠れない」「寝苦しい」と感じることがあれば、この話を思い出して季節にあった寝具を使っているかチェックしていただければと思います。